2013年1月 1日

ふくしま共同診療所を開院 福島診療所建設委員会事務局長 渡辺 馨 被災・被曝から子どもたちの命と健康を守る拠点つくる

週刊『前進』12頁(2566号8面2)(2013/01/01)

ふくしま共同診療所を開院
 福島診療所建設委員会事務局長 渡辺 馨
 被災・被曝から子どもたちの命と健康を守る拠点つくる

(写真 12月1日に開院したふくしま共同診療所)

 全国のみなさん! とてもうれしいお知らせです。
 12月1日、JR福島駅西口に念願の「ふくしま共同診療所」をついに開院しました。子どもたちを放射能から守りたい、という福島の人びとの切実な願いと全国の人びとの熱い思いがつながった、この1年間の奮闘の結晶です。
 「ふくしま共同診療所」という名前のとおり、労働者・市民・住民、そして医師、スタッフが忌憚(きたん)なく意見を出し合って共同でつくる診療所です。被災・被曝から子どもたちの命を守り、労働者・生活者のための医療を取り戻す診療所です。自然医学・予防医学も取り入れながら、今の福島の中で人間本来の生きる力を取り戻し、被災・被曝と向き合って福島で生き抜くための、心と闘いのよりどころです。全国の避難と保養のネットワークの現地拠点としても期待されていることは言うまでもありません。

 住民と医師の共同の闘いで

 私たちは「福島の子どもたちの命を本気で守りたい」という一点で、福島の人たちと県内外の医師とともに福島診療所建設委員会を結成しました。そして「福島の子どもたちの命と健康を守ろう。福島で生き抜くための診療所をつくろう」をスローガンに全国・全世界に呼びかけて、福島診療所建設基金運動を進めてきました。
 この1年間、労働者・市民・住民が力を合わせて、さまざまな妨害に打ち勝ってここまでこぎつけました。約1千人のみなさんから、4千万円近くもの支援が寄せられました。本当にありがとうございます。この場をお借りしてあらためてお礼申し上げます。
 マスコミも「募金診療所が開院」と大きく報じました。まさにその通り労働者・市民が自力でかちとった診療所です。

 「子どもたちの希望の診療所」

 診療所開院に先立って11月23日に行われた見学会と開院記念レセプションには、県内、全国からたくさんの人が集まってくれました。診療所の見学会にはご近所の住民や、二本松・郡山など県内各地から多くの人に参加していただきました。参加者から「これは福島の子どもたちの希望の診療所ですね」と自然に出てきた言葉に、本当に心から待ち望まれていたんだなと、あらためて実感しました。
 多くの人たちが避難したくてもできない中、放射線被害も被曝の危険性もまったくないようなデマが執拗(しつよう)に流されています。
 しかし現実には、18才以下の福島の子どもたちへの甲状腺検査では、4割を超えて結節(しこり)やのう胞などの症状が現れています。この状況に、「ミスター100㍉シーベルト」の異名をとる福島県立医大副学長・山下俊一らは、県内の医療機関に県立医大以外では独自の甲状腺検査をさせないように圧力をかけています。さらに県民健康管理調査・甲状腺調査の検討委員会では「原発事故との因果関係はない」という結論ありきのシナリオまでつくっていたことが明るみに出ました。ふくしま共同診療所はこうした現実と向き合っていく「前線基地」です。
 開院直後に甲状腺エコー検査にお子さんを連れてきたお母さんが「県立医大はもちろん、どこのお医者さんも信じられない。ここ以外では子どもを診せられません」と語ったそうです。親たちが、住民たちが安心して集える場がついにできたのです。
 日本政府とIAEA(国際原子力機関)は12月15〜17日、「原子力安全に関する閣僚会議」をこともあろうに郡山で開催しました。IAEAは福島県に2カ所の拠点を設け、”被曝と除染の研究拠点にする”と言っています。”あきらめて原発事故による放射能汚染の現実と共存しろ”ということです。
 ”これだけの事故になっても死んだ人間は一人もいない”と言いなし、”原発事故が起きても除染すれば人間は生きていける”かのように描き、原発の再稼働と原発輸出にお墨付きを与えるための大攻撃です。福島で行われていることは、究極の「棄民化」です。

 手を携え団結して生き抜く

 「原発絶対反対! 今すぐなくせ」と訴えて国会や首相官邸前を取り囲む20万人の決起。大失業と戦争の時代の中で多くの青年が「生きさせろ! 青年の未来を返せ」と根底的な決起を始めています。労働組合の再生と拠点建設が待ったなしで求められています。
 すさまじい被曝労働を強いられている原発労働者を始め、一切の矛盾の集中点であるフクシマにふくしま共同診療所が存在することの意義は絶大です。
 今、「復興」の名のもとに、さまざまなあきらめや分断が組織されようとしています。そうしたあきらめと分断をのりこえて、福島におけるあらゆる住民がともに手を携え、団結を強めていくことが本当に求められています。診療所は、地域におけるそうした闘いの拠点としての位置をおのずと持っていくことになると思います。
 動労千葉を先頭に外注化・非正規職化との本格的な闘いが第2ステージに入りました。福島の診療所建設の闘いもこれからが第2ステージです。

 本格的な建設へご支援を!

 今回開院した診療所は、福島の現状の深刻性から緊急にテナントビルに開設した、「仮設」診療所です。地域における総合医療の拠点、相談・学習の拠点となるべき「研修センター」(仮称)を併設した本格的な診療所の建設が次の目標です。医療機器もスタッフ体制ももっと充実させなくてはなりません。
 県内外の避難者を始めとしたすべての労働者・住民の地域拠点としての診療所建設は、これからが本格的な闘いです。全国の皆さんのさらなるご支援をお願いします。