週刊『前進』10頁(2534号2面2)(2012/04/30)
「郵政見直し法」 小泉以来の民営化が破産 株売却で大リストラ加速
職場の団結を固めて反撃へ
小泉政権下で05年10月に成立した郵政民営化法を一部修正した「民営化見直し法案」が4月12日、民主、自民、公明などの賛成多数で衆院を通過した。ゆうちょ銀、かんぽ生命の金融2社の株式を「17年9月までに全株売却を義務づける」(日本郵・・・
小泉政権下で05年10月に成立した郵政民営化法を一部修正した「民営化見直し法案」が4月12日、民主、自民、公明などの賛成多数で衆院を通過した。ゆうちょ銀、かんぽ生命の金融2社の株式を「17年9月までに全株売却を義務づける」(日本郵政グループから分離して完全民営化)としていた旧法を修正し、「全株売却をめざす」という玉虫色の努力目標に転換した。自民党からの造反は中川秀直元幹事長ら4人だけで、国鉄分割・民営化と並ぶ新自由主義攻撃のもうひとつの柱だった小泉「構造改革」路線、その「本丸」とされた郵政民営化の破綻は浮き彫りになった。
「官から民へ資金を流す」というデマ・スローガンで労働者人民の資産を巨大金融資本が食い物にし、現場労働者の大半を超低賃金で身分保障のない非正規職に追い込んだ郵政民営化が、核心部から破綻したのだ。民営化を決定づけた05年「郵政解散」で圧勝した自民党が見直し法案に賛成票を投じたのも、支配階級の動揺と腐敗の象徴だ。
会社の利益がすべてに優先
しかし一部のマスコミが「国営郵政への逆戻りだ」うんぬんと論評するのはおよそ的はずれだ。
そもそも「持ち株会社の株式の3分の1超を政府が保有する」という規定は、旧法も新法も同じだ。そして小泉派の残党や金融資本のボスたちが主張する完全民営化(株式の100%売却)であれ、3分の1の政府関与を残す(取締役解任や事業譲渡等への拒否権を残す)本法案であれ、ゆうちょ、かんぽの金融2社と持ち株会社・日本郵政の株式を売却する方針に変わりはない。民主党政権誕生(09年)後に成立した「株式売却凍結法」は解除されるのだ。
株式売却とは、会社の資産増減が「株価」で表され、「株価」が業務遂行の指標となるという意味だ。文字通り「労働者の賃金ではなく会社の利益」がすべてとなる。上場が問題となった瞬間、現場労働者へのリストラと賃下げへの圧力は今後さらに一層エスカレートするのだ。郵政資本が一昨年末から開始した「郵政大リストラ」の動機は実はここにある。
必ず破産する総合担務制度
本法案で、郵便事業会社と郵便局会社は統合される。「2社の垣根がなくなり便利になる」との触れ込みだが、当局はこれもリストラのテコにしようと考えている。「総合担務制度」の復活もそのひとつだ。
配達員が貯金や保険の営業を強制されたり、窓口の労働者が集荷や配達を兼務する労働強化だ。「それができないやつは辞めろ」という攻撃でもある。加重労働への現場の怒りで、公社時代ですら成り立たなかった代物だ。民営化による「集配局の再編」で1千カ所以上の郵便局が「無集配局」となった現在、破産は最初から見えている。
そもそも民営化で現場の労働量は以前の3倍になった。その結果、全国の郵政職場はほぼ例外なく業務が回らない混乱に陥っている。事故の激増やメンタル疾患の蔓延(まんえん)が、リストラの結果であることは現場の常識だ。
だいたいバイクや自動車が足りないとか、配達カバンが足りないとか、日本最大の郵便・物流会社として信じられないレベルの破綻だ。離島でもハガキ1枚50円で届く公益事業があるから社会は成り立つが、これを金もうけのビジネスに変えた結果なのである。郵便事業の民営化は成り立たない証明でもある。民営化政策の本家・アメリカですら郵便事業は国営のままなのだ。
それでも政府・郵政資本は株式売却を強行する。何が起こるかは明らかではないか。
国際金融市場参入の破滅性
政府・郵政資本のもうひとつの狙いは、300兆円近い資産の約7割を国債で運用する金融2社が、利幅の大きな住宅ローンや第3分野保険(ガン保険など)に割り込むことだ。うまみの大きい第3分野保険は、日米経済戦争で外資が日本市場の8割近くを独占してきたが、金融2社が株式の半分以上を売却すれば参入自由となる。
また持ち株会社の日本郵政は金融2社の株式売却益をもって、金融大恐慌を引き起こしたあの“国際金融詐欺市場”に参入することも可能だ。ここに「政府の信用」を残して参入できる。本法案に、日本の大銀行や米金融資本、さらには米政府までが猛反発するゆえんだが、実に醜悪なブルジョアジーの争いだ。
彼らこそ、労働者を飢餓賃金にまで追い込み、天文学的な公的資金(税金)で延命し、社会的生産とも無縁の金融バブルとその崩壊をつくり出して世界中の労働者・農民を塗炭の苦しみに突き落とした新自由主義の権化ではないか。郵政「見直し法案」が目指す道は、「政府の信用」(徴税権)をも利用して、この破滅的な新自由主義を極限まで進めるということだ。政府は、持ち株会社の株式売却益で、被災地の生活再建とは無縁の「復興特区」に群がる独占資本に資金を流そうともしているが、これも醜悪きわまる。
赤字は瞬時に賃下げに転嫁
郵便事業会社は2012年度の事業計画で、盗っ人たけだけしくも「営業利益97億円の黒字化」との見通しを発表した。非正規職への4万6千人もの雇い止め(進行中)やボーナスの大幅カット(2年連続)で、経営陣がつくり出した「大赤字」はいとも簡単に転嫁された。この上さらに新人事・給与制度による大規模な賃下げを準備しているのだ(本紙前号参照)。
郵便業務そのものを破綻させてまで続行される「郵政大リストラ」は末期的だ。非正規職の仲間たちの渾身(こんしん)の怒りを先頭に、連合・JP労組本部の支配を職場から革命的に転覆する階級的労働運動の全面的反撃を切り開こう!
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